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2022.03.17
ロシアによるウクライナへの武力行使の即時停止を求める声明
ロシアによるウクライナへの武力行使の即時停止を求める声明
一般財団法人 ロマン・ロラン研究所
2月 24 日から始まったロシア軍のウクライナ侵攻により、ウクライナ国内では莫大な死者と負傷者 が出ており、数百万人の難民が隣国に避難するなど混乱を極めている。当研究所は、一刻も早い武力行使の停止を求める。
ウクライナ側もロシア側も相手が先に攻撃を仕掛けたと主張して、各国での報道も真偽の見極めが困難な部分もあるが、双方の主張はともかく、国連憲章第2条4項のとおり、国際紛争の平和的解決の義務を順守し、武力ではなく、話し合いで解決するべきである。
ロシアのプーチン大統領は、NATO 加盟国及びその支持勢力が東側に拡大しており、ロシアへの安全保障上の脅威が生まれていること、ウクライナ東部のルガンスク・ドネツク地域のロシア系住民が虐げられており救援を要請されたとのことを理由として、「自衛権」を主張して侵攻を正当化している。
しかし、他国の外交安全保障政策を変更させるために侵略を行うなど言語道断であり、第 2 次世界大戦を経て確立された「主権尊重、領土保全、政治的独立の尊重」の各原則をすべて踏みにじるものである。到底許されない。
ロシア軍は、ウクライナの軍施設だけではなく、原子力発電所や一般居住地域・病院・学校まで爆撃し、甚大な被害を与えている。さらに、プーチンは核抑止体制の準備を整える命令を発しており、核によるけん制まで行っている。これらは、いずれも戦争犯罪を構成するものであり、直ちに止められなければならない。
ロシア国内で、人々はロシア軍による攻撃を非難し、中止を求めるデモなどが起きている一方、ロシア政府は、その行動参加者を弾圧し、拘束している。表現の自由や平和を求める声を弾圧しなければ戦争ができないならば、その戦争が間違っていることは明白である。
一方、ウクライナではロシアによる侵攻は独立を犯すものとしてロシア軍に徹底抗戦を呼び掛け、米国はじめ NATO 加盟国からの武器供与などを受けて、ロシア軍撤退まで戦闘を止めないとして、停戦は見通せない。
さらに、この紛争を民族問題だけの視点に限定し、日本にいる個人のロシア人を誹謗中傷することは間違いである。当研究所は、ロシアもウクライナも、ロマン・ロランが敬愛したトルストイに限らず、ウクライナのゴーゴリも含めて、数えきれないほどの偉大な先駆者の出た国として親しんできた。日本人の祖先が戦争に起因した虐待をシベリアやアメリカで受けたことも、ソ連や米国における視野の狭い民族主義に由来するものであり、このような民族主義は戦争の停止と平和の実現にむしろ有害であったことを忘れてはならない。
日本は世界大戦で武力行使により自国及び近隣諸国の民衆の多くが犠牲になったことを反省し、憲法第9条において「日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては,永久にこれを放棄する。」として平和主義を世界に宣言し、あらゆる武力による威嚇又は武力の行使を否定している。
ロマン・ロランは周囲のほとんどすべての人たちが戦争になびいた時に、自身の身の安全も言論の自由も脅かされながらも、戦争反対を主張し続けた。当研究所は、ロマン・ロランのあらゆる戦争を非とする徹底した平和擁護の精神を引き継ぎ、ロシア軍のウクライナ侵攻の即時停止を求めるものである。